季節の『花物語』
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ゆり(百合)

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初夏から夏にかけ、日本全国の山野では野生のユリが次々と花をひらく。

わが国は野生ユリの宝庫なのだ。清々しい木々のこぼれ陽の下、静かに咲いている風景に思いがけず出会うことがある。そのような時は、とてもそのまま通り過ぎることは出来ない。しばらくじっと見入ってしまう。

清楚で美しいユリは、古今東西、美しい女性の代名詞になっているのもうなずける。

 「早百合」「由利」「百合子」という名の女性は多い。
同様に海外でも、英名の
Lilyから「リリー」「リリアン」。 又、フォスター作曲「おおスザンナ」の「スザンナ」は
ヘブライ語だが、そこから「スーザン」「スージー」等々。

特に“白い百合”は花言葉も「純潔・無垢・淑女」等で、女学校の名前などにも“白百合○○○”は珍しくない。『清らかで美しく』と願った故であろう。

少し前に『白百合だけのウェディング・ブーケ』をつくった。
花嫁の希望は「テッポウユリ」だけ。開花したものと蕾とをあわせて
50輪余りも使ったが、豪華だが決して賑々しくなく上品な仕上がり。美人の彼女には素晴らしく似合っていて大好評だった。自分の名と同じ「ユリ」を、とのことだった。


テッポウユリ同様、ウェディング・ブーケに、最近よく使われるユリに「カサブランカ」がある。これは直径20p余りもある白い大輪のものだが、元になっているのは日本原産のユリ達。そのままでも充分美しい日本の野生ユリが海外の人々の目にとまり、ニュージーランドで品種改良、日本へ逆輸入されて来たもの。

ひと昔前の日本女性と現代の日本女性との“美しさ比べ”のような気もする。

 室町時代に野山に咲くユリを切花として楽しむことが盛んになった。
 
 野生ユリが美しい日本では、あまり手を加える必要がなかったのであろう。
海外の方が品種改良については盛んだったようだが、江戸時代末期頃からは我が国でも改良が徐々に進んでいった。

観光地ではユリには熱い視線を送っている。
 
奈良学園前駅近く、大和文華館の庭には「ササユリ 」の自生地がある。
蒜山高原近くの山地で「ウバユリ」、北海道の札幌近郊では「スカシユリ」に・・・偶然出会った時の感動はわすれられない。

 ☆「カサブランカ」のアレンジメント《レッスンより》
 
 
よく耳にするのは「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」。

声に出して言ってみると、やはり、美しい女性の姿が目に浮かぶ。「歩く姿」に「ゆり」があてはめられているのは、華奢な細い茎の先に美しい花をつけ、それが風に「揺れる」さまからきているようだ。「ゆり」は「ゆる」「ゆすり」が転じたと聞く。さらに「百合」は「百合の根」、地下の球根の鱗片(りんぺん)が幾重にも重なり合った様子からつけられたそうだ。

この“ゆり根”特に山百合や鬼百合のものは縄文時代から大切な食用であった。
今でも「卵とじ」や「旨煮」にしたりする。
さらに粉末にして麺をうち、その“百合麺”をつけ汁で食すそうで、これはまだ味わったことの無いあこがれの味である。又民間薬としても役立ってきた。花は乾燥後粉末にして傷の止血剤に、鱗片はつぶして酢と混ぜあわせ患部に張る。
おできなどの治療につかうとのこと。美しいだけではなかったのだ。

 興味のある方に、面白い観察・楽しみ方をひとつご紹介。花の咲いている『向き』が3つあることだ。「透かし百合」は上向き、「てっぽう百合」「乙女百合」「山百合」等は横向き、「鹿の子百合」「竹島百合」等はやや下向きか下向きに咲く。
加えて花色も最も好まれる白のほか淡いピンク、濃い目のピンク、黄、オレンジとさまざま。「鹿の子百合」のように鹿の子絞りのような模様の入っているものなどもあり、絵のモデルとしてもなかなか個性的なのである。
                                                                             ☆「スカシユリ」    
観察日記をつけてみるのも楽しい。

 
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